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ホモ=サピエンスと人種概念 [01先史の世界]

世界中に広がっているヒトは、現生人類、あるいは新人とかホモ=サピエンスともいわれる種に属しており、化石として見つかっている現生人類としてはクロマニヨン人や北京原人の周口店遺跡の上層から発見された周口店上洞人などがあります。現生人類の出現時期は4万年前とされてますが、最近はさらにさかのぼっています。そして現在では「現生人類アフリカ起源説」が定説になりつつあるとはどういうことでしょうか。また、ここで間違えていけないのは「人種」という用語の概念です。その使い方には十分注意しなければなりません。
現生人類の出現時期:かつては約3万年前とされ、現行教科書(08年版山川詳説)では約4万年前となっているが、実はさらに大幅に繰り上がっており、約20万年前にアフリカに出現し、10万年前にヨーロッパ大陸にわたり、世界中に広まったと考えられている(現生人類アフリカ単一起源説参照)。2003年には16万年前の現生人類の化石がアフリカの大地溝帯で発見されたと報告されている。それらを総合すると、約60万年前にアフリカの原人を共通の祖先として旧人と新人が別れて別々に誕生し、別な道をたどって一方はネアンデルタール人となり、もう一方から現代人が現れたというシナリオが有力になっている。
現生人類の特徴:旧石器文化を継承し、高度な狩猟採集技術を持ち、さらに1万年前から農耕と牧畜の技術を身につけ、地球上各地にさまざまな「文明」を形成した。その意味でホモ=サピエンス(知恵ある人)と言われている。彼らが残した洞穴絵画は「芸術」の起源ともされ、さらに「情報」を「抽象的な概念」で共有し、伝達するという現代人の能力も彼らからはじまったと考えられる。最近では現代人と共通するホモ=サピエンスの特徴として、抽象的思考、計画的能力、発明能力、シンボルを用いて知識伝達をする能力を持つことがあげられている。
episode 7万5千年前の「模様」とアクセサリー ホモ=サピエンスが「模様」やアクセサリーを造る能力を持っていたことを示す例が最近報告され、注目されている。2002年、南アフリカのケープタウンに近いブロンボス洞窟で、7万5千年前の地層からオーカー(ベンガラ)の塊が多数出土し、その中の二つに明らかに人間が刻んだ幾何学模様が発見されたと発表があった(左掲)。さらに2004年には同じ洞窟の地層から同じ穴があけられビーズ状になった巻貝の貝殻が多数発見された。この発見は、「シンボルを操作する能力」を人類が身につけたものとして最近特に重要な発見とされている。※参考 海部陽介『人類がたどってきた道』2005 NHKブックス p.86,93
「人種」用語の誤解に注意: なお、「人種」という用語があり、白色人種(コーカソイド)や黄色人種(モンゴロイド)、黒色人種(ネグロイド)などといわれるが、これは生物学、人類学上の「種」ではないので注意を要する。東京やニューヨークのヒトも、ボツワナやトンガやシベリアなど極北にすむヒトもすべてホモ=サピエンスに属する「種」である
また、1990年代までは、ホモ=サピエンスの定義が広く旧人であるネアンデルタール人も含められていた。そのため、ネアンデルタール人をホモ=サピエンス=ネアンデルターレンシスと言いクロマニヨン人(新人)はホモ=サピエンス=サピエンスと言う、などと説明されていたが、2000年代に入って研究が進み、両者は別な種であることが判明したので、現在ではネアンデルタール人をホモ=サピエンスとは言わない。ホモ=サピエンス以外のヒト科にはアウストラロピテクスやネアンデルタール人がいたが、いずれも絶滅した。

 → 現生人類アフリカ起源説  人類の地球上への拡散


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