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猿人ルーシーに会いに行こう [01先史の世界]

アフリカで発掘されたアウストラロピテクスの化石人骨で、一体分が出土し、ほぼ完全に復元されている女性がいる。彼女は発掘者によってルーシーと名付けられた。発掘現場にビートルズの“ルーシー・イン・ザ・スカイ……”がかかっていたからであった。ルーシーは現在、東京国立博物館で会うことができる。
アウストラロピテクスの発見 化石人骨の中で最も古い「猿人」の代表的な種類で、南アフリカで発見された化石にちなみ「南方の猿」を意味する学名がついた。その最初は1924年夏、アフリカのヨハネスブルク大学教授レイモンド・ダート博士が、ベチュアナランドのタウングスにある石灰岩採石場で発見し、翌年「アウストラロピテクス=アフリアヌス」と名付けて『ネーチュア』誌上に発表したもの。これはそれ以前に知られていたジャワ原人や北京原人などの原人より原始的であるヒトの化石であり、サルと人間をつなぐ存在であると主張した。はじめこの説は批判にさらされ、一般に認められなかったが、南アフリカ各地で同様の化石が発見され、二足歩行していたことも証明されて、「猿人」の存在が明らかになった。アウストラロピテクス=アフリカヌスの登場は280万年前頃であるが、それ以外にも420万年前のアウストラロピテクス=アナメンシス、380万年前のアウストラロピテクス=アファレンシスなどがある。
アウストラロピテクスの華奢型と頑丈型 アウストラロピテクスにはアフリカヌスなどの頭蓋骨などの形状が細身のタイプと、頭頂部に盛り上がりがあり骨格も頑丈なタイプの二種類があった。後者はパラントロプスと分類され、その代表的なものが1959年にリーキー博士がオルドヴァイ渓谷で発見したジンジャントロプス(現在はアウストラロピテクス=ボイセイと言われている)である。この二種類のアウストラロピテクスは同時に併存したとも考えられるが、後者は約100万年ほど前まで生存して絶滅し、前者の中からホモ属が現れたらしい。
episode  上野で会える猿人ルーシー 1974年、エチオピアのハダールで、ジョハンソンたちが300万年前と見られる猿人化石を発見した。細かな骨をたんねんにつなぎ合わせていったところ、それは一体の女性のものであることがわかった。そのキャンプの仕事場でビートルズの「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」が流れていたので、この女性に「ルーシー」というニックネームが付けられた。猿人化石でほぼ完全な骨格がわかったのはきわめて珍しいのでルーシーは世界的に有名になった。「彼女」は年齢20~30歳、身長1メートル、脳の大きさは400cc(チンパンジーと大差ない)だが、骨格から二足歩行していたことは確かである。なお、上野の国立科学博物館で彼女ルーシーと会うことが出来る。もちろん復元モデルであるが、妙にリアルで親しみが持てる。

参考にした本



人類進化の700万年 (講談社現代新書)

『人類進化の700万年』 (講談社現代新書)

  • 作者: 三井 誠
  • 出版社: 講談社
  • 発売日: 2005/09/17
  • メディア: 新書



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